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【134冊目】『標的』ーそれぞれの「正義」がぶつかり合う

 

標的

標的

 

 あの『 ハゲタカ』の著者の本です。

『ハゲタカ』を読んだことがない人は一度読んでみてください。本当に面白いですよ!!

【48冊目】『ハゲタカ』シリーズ~面白すぎる経済小説 - 今が大事

 

今回のこの『標的』もいい小説です。

Amazonの内容紹介より

任期満了を迎える黛新太総理の後任候補に、48歳という若さと美貌で国民的人気を誇る、越村みやび厚労大臣が名乗りを上げた。

日本初の女性総理誕生が、にわかに現実味を帯びはじめる。

そんな中、医療・福祉系投資会社JWFの元CFO片岡司郎が、収賄の疑いでみやびを告発したいと東京地検特捜部に接触する。JWFは越村が推進する社会福祉制度改革のパートナー的存在m詫田恭平の会社だ。

特捜検事の冨永真一は片岡の事情聴取を行うことにした。

裏には永田町の策謀が潜んでいたーー。

 

『ハゲタカ』は経済小説でしたが、この『標的』の主人公は冨永真一という特捜検事。社会派小説です。

次期総理大臣になる女性政治家を狙って動きます。その女性政治家の背景には、福祉、介護問題があります。その介護問題に対しての取り組みのためにやったことが女性政治家の疑惑になっています。

 

 

この物語を読んでみるとわかるのですが、決して派手さはありません

何かものスゴイ型破りな主人公がいきなり政治家を逮捕!みたいな感じではありません。

もしこういうことが起こった場合、実際にはこんなことが起きているのかな?と感じさせる内容となっています。

検事、記者、政治家と主にこの3つが本書の物語を構成しているのですが、この3つの職業をかなり取材したのでは?と感じさせる内容です。

 

 

どの立場で読むかによって、何が悪で何が善なのか。これを考えさせられる小説ですね。お互いの主張はどちらも正義。この正義がぶつかりあうとどうなるのか。さらにどの正義が正しいのか。

 

こんな文章があります。冨永が女性政治家の旦那と話をしているシーン。

ジャンヌ・ダルクのようだと評価されるのっも頷けます。そして、ジャンヌと同様の過ちを犯した。正しき者に、人々はひれ伏し、理想は実現するという錯覚です。

正さを語るときに知らずのうちにこういった考えに陥ってしまいそうですよね。

 

☆☆☆☆☆

本書は、シリーズものになっています。この「冨永真一」シリーズというのでしょうか。

この冨永真一が主人公の作品はこれで2冊目。

1冊目はこの『 売国』です。

売国 (文春文庫)

売国 (文春文庫)

 

 

これも読みましたが、なかなかに面白いです。せっかくであればこの『売国』から読んでみるのがいいと思いますよ!

標的

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