【126冊目】『ロスジェネの逆襲』-半沢直樹シリーズ第3弾
年始に時間があったので、ドラマ『半沢直樹』を全部観ました。
テレビドラマでは続編は出ていないので終わりですが、小説は続いています。
ということで、どんな内容だったかな?と気になってもう一度読み直したのがこの本です。
Amazonの内容紹介より
半沢直樹、子会社へ出向!ロスジェネ世代の部下とともに、理不尽な敵どもに倍返しを食らわせろ。
小説としては、『半沢直樹』シリーズとしては第3弾となってます。
第1弾、第2弾はこちら
→『オレたちバブル入行組 (文春文庫)』『オレたち花のバブル組 (文春文庫)』
この2作品も文句なしに面白いのですが、この第3弾の『ロスジェネの逆襲 (文春文庫)』も最高にいい作品ですね。
内容はこんな感じ
まさかの出向となった半沢直樹。出向先は子会社の東京セントラル証券。
そのセントラル証券にIT系の会社の大型の買収案件の話が転がりこむ。その買収案件を成功させることができれば巨額の収益を得られるはずだったのだが…
なんと、親会社の卑劣な手段によってその買収案件を横取りされてしまう。
出向先でも全く腐っていない半沢直樹は、バブル世代に反発するロスジェネ世代の若い部下とともに卑劣な手段で横取りした親会社の人たちへの逆襲を図るストーリー。
半沢直樹の代名詞と言われるまさに「やられたら、やり返す!倍返し」のストーリーとなっています。
本書のタイトルともなっている「ロスジェネ」とは何なのでしょうか。
本書にはこう書かれています。
1994年から2004年に亘る就職氷河期に世の中に出た若者たち。その彼らを、のちに某全国紙の命名により、「ロスト・ジェネレーション」、略してロスジェネ世代と呼ぶようになる。
ロスト・ジェネレーション、直訳すると「失われた世代」ということでしょうか。
痛快なストーリー
読んでもらえばわかりますが、本当に面白いというか痛快というか、なんともスッキリします!半沢直樹ほどの信念を持った人であれば何をやっても成功しそうな気がします。
小説の人物ですが、そうなりたいなと自分自身感じますね。
この小説の中にもかなりイイことが多く書かれていますので、引用します。
ロスジェネ世代の部下が、振り回されてきた組織とか世の中とかが嫌いという話の流れで半沢は…
だけど、それを戦わなきゃならないときもある。長いものに巻かれてばかりじゃつまらんだろ。組織の論理、大いに結構じゃないか。プレッシャーのない仕事なんかない。仕事に限らず、なんでもそうだ。嵐もあれば日照りもある。それを乗り越える力があってこそ、仕事は成立する。世の中の矛盾と理不尽と戦え、森山。オレもそうしてきた」
世の中の矛盾と戦う。そういう時も確かに必要ですよね。
サラリーマンはーいや、サラリーマンだけじゃなくて全ての働く人は、自分を必要とされる場所にいて、そこで活躍するのが一番幸せなんだ。会社の大小なんて関係がない。知名度も。オレたちが追及すべきは看板じゃなく、中味だ
子会社に出向になっても全く腐らない半沢直樹。会社の大小なんて関係ないと。
確かにその通り。大事なのは中身。
仕事の質は、人生そのものの質に直結しますから
人生においては仕事がすべてではないかもしれませんが、多くの人が多くの時間を仕事に割いてますから仕事の質は人生の質に直結しそうです。
IT会社の社長が勝ち組について語っている場面。
オレがいう勝ち組は、大企業のサラリーマンのことじゃない。自分の仕事にプライドを持っている奴のことだけどさ
(中略)
どんな小さな会社でも、あるいは自営業みたいな仕事であっても、自分の仕事にプライドを持てるかどうかが、一番重要なことだと思うんだ。結局のところ、好きな仕事に誇りを持ってやっていられれば、オレは幸せだと思う
仕事は看板ではなく、中身が大事。半沢と同じことを言っています。
仕事は客のためにするもんだ。ひいては世の中のためにする。その大原則を忘れたとき、人は自分のためだけに仕事をするようになる。自分のためにした仕事は内向きで、卑屈で、身勝手な都合で醜く歪んでいく。そういう連中が増えれば、当然組織も腐っていく。組織が腐れば、世の中も腐る。
仕事はお客さんのためにするもの。どんな商売もお客さんはいますから、この本質を忘れてはいけませんね。
☆☆☆☆☆
最後の方に頭取がこう言ってます。
どんな場所であっても、また大銀行の看板を失っても輝く人材こそ本物だ。真に優秀な人材とはそういものなんじゃないか
半沢直樹はまさにそういう人物ですね。どんな場所でもどんな状況でも、きちんと腐らずに打開策をみつけようと頑張る。
これこそ大事なことだと思います。
本当にいい小説ですので、一読を!