【86冊目】『沈まぬ太陽』~自己を犠牲にしてきた男
今回紹介するのはこの本。
これはとんでもない小説です。おもしろすぎます!
かなり長い小説なのですが、完全に没頭して一気に読み終えた感じです。
著者の山崎豊子の本は今まで読んだことがなく初めて読んだのですが、こんな素晴らしい小説を今まで読まなかったのは損してた!と思えるくらいの本です。
「国民航空」という航空会社が舞台です。
主人公は恩地元。この恩地元は、もともとはエリートとして将来を嘱望されていたが、国民航空の労働組合の委員長になり(決してなりたくてなったわけではない)、ストライキ等をしたのが原因で「懲罰人事」を食らいます。
カラチ、テヘラン、ナイロビと当時かなり厳しい状況だった国へ10年という長い時間たらいまわしにされるのです。本書を読めばわかりますが、普通に考えるとありえないくらいの仕打ちです。
そのアフリカ篇から、ジャンボ機の大事故の御巣鷹山編、その後の会長室編と3つの章から成り立っている『沈まぬ太陽』。
この恩地元なる人物は、アフリカでも腐らずに仕事をきちんとする前向きな人間であり、さらに自分の生き方、信念を曲げない強さを持っている人間で魅力的ですね。自分はこう強く生きることができるのかと考えさせられてしまいます。
組織の中で、存分に生きることができなかった主人公の印象的な言葉です。
組織の中で節を全うすることは難しい。いつかは追い詰められ、最後まで筋を通すためには自己を犠牲にしなければならないー。
命懸けでやる仕事の場を与えられた人間が、真底、羨ましかった。人間にとって、やり甲斐のある仕事を与えられないことほど、辛いものはない。恩地は、体が乾涸びるような飢餓を覚えた。
トップに都合のいいルールに従わなければ、弾き飛ばされ、無視されるのが、日本の組織社会なのか
この小説は一度は読んだ方がイイですね。
映画にもドラマにもなっているということですから、ぜひ観てみたいと思います。
沈まぬ太陽 スタンダード・エディション(2枚組) [DVD]
- 出版社/メーカー: 東宝
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