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【150冊目】『成り上がり 金融王・安田善次郎』ー金融王と呼ばれた男の人生

成り上がり 金融王・安田善次郎 (PHP文芸文庫)

 

「安田善次郎」という人物を知っていますか?

では、みずほ銀行、損害保険ジャパン、明治安田生命はどうでしょうか?

東京大学の安田公会堂や日比谷公会堂は??

この辺は知っている人も多いはず!

 

この「安田善次郎」という人物は、この現在のみずほ銀行、損害保険ジャパン、明治安田生命を設立した人物なのです。

また、有名な東京大学の安田公会堂や日比谷公会堂を寄付した人物なのです。

これだけ聞いても物凄いですよね。

 

本書はその物凄い人物の伝記を物語風に書かれたものです。

とても興味深く、一気に読んでしまいました。

金融王と言われてきた人物ですので、豪快な生き方かと思っていたら全くそうではなく実直な生き方でした。

 

千両の分限者

若いころに「千両の分限者になる」と決めてから善次郎の人生が動き出します。

金の力は偉大だと思う。そして金を持っている商人が一番偉い。これが世の中の真理だ。武士なんか、空威張りしているだけだ。

それが証拠に金を持っている町人に頭を下げ、へらへらしているではないか

 

まず、富山から江戸に出るまでの話もとても興味深い。父親の反対を押し切って、家出同然で出ていく姿が書かれているのですが、すごい意思を感じます。

富山~東京は、今みたいに電車に乗って数時間の距離ではないですからね。そう考えると今は素晴らしい時代ですよね。

 

その強い意思で、ついに大反対していた両親も説得できついに江戸にいけることになった善次郎。その時に気持ちを想像するだけで、何か鳥肌がたってしまいました。

 

信用を大事に

江戸に出てからもすぐに成功するわけではなく、玩具屋、鰹節屋、両替商に勤め、そし独立し徐々に徐々に成功していくのです。

ずっと成功していくわけではなく、失敗もしたりと紆余曲折もありました。

そして、この善次郎の仕事の方法がすごく参考になります。信用を第一に考え行動してるのです。

 

こんな文章があります。

石門心学の人に、石田梅岩の教えを聞いたことがある。彼は「売り物に念を入れ」、「少しも粗相せずにして売り渡」し、「是まで一貫目の入用を七百目にて賄い、是まで一貫目有し利を九百目あるようにすべし」

これを善次郎は参考にし、こんなように考え行動した。

・念を入れる→品質に気を配りとにかく良い品を売らねばならない

・少しも粗相せず→客に品物をお届けすることや最高の奉仕をすること

・一貫目の入用を七百目→店の経費を切り詰める努力をして、客に利益を得てもらうようにすること

 

良いものを安くして信用を得、とにかく一人当たりの利益は多少は少なくても、多くのお客様を得る事を考え行動していたんですね。

 

また、商売に対する貪欲さもみられます。

まず、当時両替屋が御用聞きに出向いてくれるということはなかったという時代に、安田屋はこまめに出向いたというのです。

当時のお金は非常に重いので、なかなか他の両替商はやらなかったのでしょう。それを善次郎はやってお客様へメリットを感じさせ、信用を得、お客さんを増やしていった。

こういうところに商売の本質を感じましたね。

 

☆☆☆☆☆

偉大な人物の伝記、物語というのはとても勉強になります。

その人物がどんな思いで仕事、人生にむかっていたのか。心が熱くなります。

本書も多分に漏れず間違いなく心を熱くさせてくれる本でありました。

 

成り上がり 金融王・安田善次郎 (PHP文芸文庫)

成り上がり 金融王・安田善次郎 (PHP文芸文庫)