【111冊目】『言ってはいけない格差の真実』ー不愉快な真実から目を背けない
Amazonの内容紹介より
「教育に税金を投じるのはムダ」「雇用対策の大半は無意味」「経済格差は知能格差だ」など、日本経済のタブーとされている8項目の現実に人気作家が迫った問題作。「月間文藝春秋2016年10月号」掲載の記事を再構成して電子書籍化。
この本、すごいですよ!!
著者は、小説『マネーロンダリング 』等のマネー小説で知られる橘玲氏。僕も著者の小説は好きで読んでいます。
そんな著者が書いた、本書。
「知識社会においては、経済格差は知能の格差である」という主張をするが、一般にこれは「差別発言」と見なされている。日本社会の良識(きれいごと、ともいう)では知能にちがいがあってはならず、努力によって学力は向上するとされているからだービリギャルのように。そこで、まずこの主張が「差別」でないことを示しておかなくてはならない。
と、始まる。
「知識社会においては、経済格差は知能の格差である」ここまではっきり言ってしまう人も珍しい。ただ、これはあくまで差別発言ではなく、合理的に説明ができることであるから真実だといいます。
真実かどうか、差別かどうかの判断基準は不快に思うか思わないかの基準ではないといいます。あくまでも「合理的に説明ができるかどうか」。
その「合理的に説明できる」以下の8つのことについて本書は書かれています。
見ただけで興味がわくタイトルですよね。
- グローバル化で先進国だけ損をした
- 経済格差は知能の格差だ
- 教育に税金を投じるのはムダ
- 雇用対策の大半は無意味
- 最貧困を生む本当の理由
- リテラシーの低い消費者がカモだ
- 社会は右傾向化していない
- 将来、日本から「正社員」は消える
すごいのは、これらのことに対してデータ等できちんと根拠を示していること。もちろん合理的に説明できることが前提ですから、当たり前といえば当たり前なのですがきっちりと根拠となる数字、事例をだして説明されています。
都合の良いことばから知識として取り入れるのではなく、きちんと事実を把握し理解することが重要だなと本書を読むと感じます。
本書の最後の方にもこう書かれています。
「知識社会においては、経済格差は知能の格差だ」という不愉快な事実を受け入れることではじめて、いま日本や世界でなにが起きているかが見えてくる。
この不愉快な事実というのは、社会には多く存在していると思います。
その不愉快な事実から目をの向けるのではなく、事実として受け入れることがまず第一歩かな、と。
そうすれば、日本や世界でなにが起きているのかという大きな視点もですし、自分自身に何が起きているのか、どうするべきなのかということもわかってくると思います。