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【114冊目】『この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」』ー自国の歴史から学ぶ力をつける

この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」 池上彰教授の東工大講義 日本篇 (文春文庫)

池上彰さんが、東工大で講義したものをまとめた本。

「戦後史」は知っているようで、実は知らないことって多いのではないでしょうか。

学生時代の歴史の教科書でも「戦後史」をやるのは本当に最後の方にチョロっとというイメージです。

ただ、「戦後史」ももちろん歴史です。自分が経験していないことですから、歴史と認識してきちんと学ぶ必要があると思います。

本書では「戦後史」が空白になっていることに対してこう書かれています。

歴史を教える人にとって、戦後史は現代そのもの。自分が経験してきたことは「歴史」と感じません。ところが、自分が経験していない人にとっては、それは歴史なのです。この認識の落差が、戦後史を空白にしてきたのだと思います。

知らない、あいまいになっている戦後史の中から、学ぶことというのはたくさんあるはず。本書ではそれを学ぶことができます。

 

農地解放と財閥解体

農地解放とか財閥解体というのも、なんとなくわかってはいますが、なぜ起こったのかということまでは説明できません。

この農地解放も財閥解体も、GHQが日本が戦争をしない国にしようとした結果ということです。

戦前の日本は国内の経済力が十分ではなく、いわゆる内需が不足していたため、中国大陸やアジアに市場を求めて進出していったと米国は分析していました。日本国内で十分な内需が生まれれば、日本は戦争をしない国になる、というわけです。労働組合が結成されて労働者の労働条件が改善され、収入が増えれば消費が拡大します。つまり内需拡大です。

この内需拡大をするための方法が、この農地解放であり財閥解体であったのです。

特に農地解体で、多くの人が自作農になりやる気がアップ。生産性が高まるわけです。ただ、ここで気を付けなければいけないのは、農地解放で発展した一方で、小さな農地しかない農民ばかりになり、生産コストは高く、農業における国際競争力が失われてっているのが現状です。

時代や環境などの条件によって、ある方法が、効果的になる場合とそうではなくむしろマイナス要因になってしまうことがあるということがわかりますね。

 

☆☆☆☆☆

本書には、他にもたくさん戦後史について書かれています。

政治、政党のこと。自衛隊のこと。教育のこと。などなど。

本書を読んで思ったのが、表面上は知っているけれどもその背景をしらないことが多いな、と。歴史の事実だけ知っていても、その背景を知らないと歴史から学ぶことはできません

さすが池上彰さん!非常にわかりやすくその背景が書かれていますから勉強になること間違いなしです。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉もありますから、少しでも賢者に近づくために本書を読んでみてはいかがでしょうか。