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【93冊目】『実践版 孫子の兵法』ー一番大切なのは負けないこと

 

     実践版 孫子の兵法: 人生の岐路で役に立つ「最強の戦略書」 (小学館文庫プレジデントセレクト)

 

戦略論の著書として名高い『孫子』。一度は読んだ方がいい古典中の古典だと思います。なんと2500年も前の本です。

僕も何回か読み直していますが、何度読んでもいいことが書いてあるというか本質を捉えてるなと感心してしまいます。

本書はその『孫子』をただ現代語訳するのではなく、現代の視点で分析した本です。

ビジネスの点からもたくさん書かれています。

あ!そう考えればよかったのか!と感じる人も多いと思いますね。

 

2,500年も前の本

2,500年もの間、研究が続けれられ、読み続けられているのはなぜでしょうか?僕は本質を捉えているからではないかと書きましたが、本書にはこう書かれています。

何らかの普遍的な真理が含まれているからだと推測されます。

 

日本、海外を問わず経営者や管理職に孫子の愛読者が多いのは、単なる兵法ではなく人間という存在への鋭い洞察が含まれているからではないでしょうか。

古典がいつの時代も読まれる理由としては、その場だけのことではなく、いつの時代にも変わらない普遍的なものが書かれているからだと思います。

本質が書かれているので、いつ読んでも色あせない。

孫子も間違いなくその色あせない内容ですね。それを、現代の視点から分析されている本書。その分析を読めば、その内容がいかに普遍的なものなのかがわかります。

どのように作戦を立てればいいのか、分析の方法、リーダーとはどうあるべきなのか、また現場の意欲をどのように高めていたのか、管理方法など、今の時代にもピッタリと当てはまります。

 

「不敗」を大切にする

孫子を読んでいて、感じるのは「やる気を出そう!」的な発想はありません。

とてもロジカルなものですね。

孫子は「不敗」、つまり負けないことを一番大切だと考えているからです。

戦うのは有利なときだけ、勝利を100%確信できる状態のときだけです。

それ以外のときはどうすればよいのか?簡単です。

戦わない決断をし、やめる勇気を発揮して、逃げることに専念するのです。

そもそも、孫子は戦争で勝つための本です。だからこそ、国家の存亡や国民の生死がかかっています。その国民の命を大事にという考えがありますから、勝てる勝負しかしないということです。

この国民の命を大事にしている部分がこの戦略書を読んで強く感じることができます。こういう大事なものを無駄にしても勝つことが大事だと言っているわけではないのです。

王たる者、将たる者は怒りにまかせて軍事行動を起こしてはならぬ。状況が有利であれば行動し、不利とみたら中止すべきである。怒りは、時がたてば喜びに代わるだろう。だが、国は滅んでしまえばそれでおしまいであり、人は死んでしまえば二度と生き返らないのだ

 

しかし、なんの工夫もせずに100%勝つ勝負しかしないと言っているわけではありません。孫子は勝つためにどう考え、どう行動するべきなのかという工夫がたくさん書かれている本なのです。

ただ、逃げる、やめる勇気も時には大事ですね。まずは、負けないことが重要なのです。

 

☆☆☆☆☆

せっかくであれば、何事も勝ちたいものです。勝ちたいと思ったときに何をするべきなのか。『孫子』にはそれが書かれています。なぜなら、「勝つため」の本ですから。

その2,500年も前に書かれた「勝つため」の本を、現代の視点で書かれた本書はとても理解しやすいですね。

 

 

 

新訂 孫子 (岩波文庫)

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