【90冊目】『戦略論の名著』~本質とは何なのだろうか?
『失敗の本質』の著者が厳選する戦略論の名著が戦略論の名著を紹介している本書。
戦略について学びたい人は多いと思います。まずは本書で紹介されている12冊から読んでみるといいと思います。
その12冊は以下の通りです。
①孫武『孫子』
②マキャベリ『君主論』
③クラウゼヴィッツ『戦争論』
④マハン『海上権力史論』
⑤毛沢東『遊撃戦論』
⑥石原莞爾『戦争史大観』
⑦リデルハート『戦略論』
⑧ルトワック『戦略』
⑨クレフェルト『戦争の変遷』
⑩グレイ『現代の戦略』
⑪ノックス&マーレー『軍事革命とRMAmp戦略史』
⑫ドールマン『アストロポリティーク』
紀元前の本である『孫子』から2000年代に書かれた本まで幅広く紹介されています。特に『孫子』は戦略論を語るうえで欠かせない本なのではないでしょうか。
そう考えると、「戦略の本質」というのは時代が変わったとしても変わらないのかもしれません。
『現代の戦略』のグレイもこう言っています。
あらゆる時代のすべての戦争史には、そのエッセンスに一貫性がある。なぜなら戦争と戦略の本質や機能の決定的な部分は何も変化していないからだ。
著者ははじめにでこう書かれています。
「戦略とは、何かを分析することではない、本質を洞察しそれを実践すること、認識と実践を組織的に総合することだ」
と。戦略というと数字を並べて分析ばかりしている人、組織はいないだろうか。そうではなく、あくまでも「本質を洞察し、それを実践すること」だと言います。これができている人はどれだけいるのでょうか。本質を洞察する方法は?その実践はどうやったら?ということを本書を読むことによって学ぶことができると思います。
上記の本がそれぞれ紹介されていますが、それぞれの章末に各著者の名言が書かれています。この名言を読むだけでも価値があるのではないでしょうか。
この名言を読んで、気になった本から読むというのも一つの方法だと思います。
僕が気になった言葉を引用します。
マキャベリ
どこの国もいつも安全策ばからとっていられるなどと、思ってはいけない。いやむしろ、つねにあぶない策でも選ばなくてはならないと、考えてほしい。物事の定めとして、一つの苦難を避けなければ、あとは難の苦難にも会わずにすむなどと、とてもそうはいかない。思慮の深さとは、いろいろの難題の性質を察知すること、しかも一番害の少ないものを、上策として選ぶことをさす。
毛沢東
大きい力を集中して、敵の小さい部分を攻撃する
ルトワック
戦術レベルでの成功も、大戦略レベルでは容易に逆効果となりうる
☆☆☆☆☆
本書は紹介されている本のエッセンスを知るには十分な本です。
そこから気になった本を読むことによってさらに理解が深まるかも知れません。
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