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【8冊目】買う理由を作る→『マーケターを笑うな!〜「買いたく」させる発想法』山本直人

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「マーケター」と聞くと、どんなイメージでしょうか?
市場の調査、分析をする人というイメージの人が多いのではないでしょうか。実際に僕もそうでした。

今回紹介するのはマーケターの本です。

 

マーケターを笑うな! 「買いたく」させる発想法

マーケターを笑うな! 「買いたく」させる発想法

 

 

本書ではマーケターとはどういうものか定義づけられています。

マーケターは、「買う理由」をつくってあげることが仕事なのだ。

 

買う理由をつくってあげる。確かにものを買うには「買う理由」が必要である。
僕たちは何かを買う時に、「買う理由」が確かにあると思う。
それが、意識的なものか無意識的なものかという違いがあると思うが。

そして、その「買う理由」を与えるのがマーケターの仕事だという。
マーケターは4つの視点から考えることができるという。
その1 売るマーケター
その2 つくるマーケター
その3 助けるマーケター
その4 まとめるマーケター

それぞれについて本書では詳しく紹介されている。
それぞれが、「買う理由」を消費者に与えていくということである。

売り込みは不要

本書でピーター・ドラッカーのこんな言葉が紹介されている。

『セリングの必要性はこれからも続くだろうと考えられる。しかしマーケティングの狙いはセリングを不要にすることだ。マーケティングの狙いは顧客を知りつくし理解しつくして、製品やサービスが顧客にぴったりと合うものになり、ひとりでに売れるようのすることである。理想をいえば、マーケティングの成果は買う気になった顧客であるべきだ。そうなれば、あとは製品やサービスを用意するだけで良い。』

 

セリングはこれからも必要であり、あくまで理想と書かれているが、マーケティングはセリングを不要にするという。
これができたらすごい。確かに製品が一人でに売れるのであれば最強である。なにもしなくても売れるのだから。
これに近い製品があったと本書で紹介されている。ソニープレイステーションジレットのマッハ3、トヨタのレクサスなど。個人的には、iPhoneもそうではないかと思う。特に日本では売れまくっている。


いいモノの罠

いいモノを作れば売れる。そう考えている人が多いのではないでしょうか。

日本の製品が売れなくなった理由として、このことが原因だと言う人も多い。


そしてこのいいモノというのが、数値上のいいモノであることが多いのだ。スペックがいいから買うという人も当然いるだろうが、本当の買う理由はそこではないという。
いいモノというのは、数値上ではなき、消費者の基準で決まるという。シャンプーであれば、配合成分ではなく滑らかな髪になるかどうか、車であればエンジンの性能ではなく、コレに乗って家族と楽しい思いができるかどうか、など数値上以外のものに消費者は買う理由を見つけるということです。


これをスマートフォンの世界で考えてみると、日本ではiPhoneがダントツに売れているという現状がある。数値上、スペック上はiPhoneより優れている日本メーカーのスマホはたくさんある。しかし、売れているのはiPhone。ということは、ここにスペック以外の買う理由を消費者が考えていることになります。
ここを勘違いしてしまうと確かに全く売れない商品が登場してきてしまいそうです。

 

マーケターにとって重要なセンス

それは、「より優れた疑問」を発することのできるセンスである。具体的にいうと、その疑問によって「部分から全体へ」視野が広がるのが「優れた疑問」だと考えていい。

 

部分から全体へ。
この具体例が挙げられている。
スーパーの鮮魚売り場で午後8時になると値下げの赤文字を書く担当の話である。

その1
「毎日、同じような値下げじゃつまらないな〜。下げ幅を変えてみたらいいんじゃないか?この仕事は僕に任されているのだから、明日は思い切り下げてみようか」
その2
「大体、毎日8時過ぎに売れ残っては値下げしてるのって、そもそも仕入れがおかしいんじゃないか?今度の上司への月次報告にはそのことを書いてみよう」

 

どちらが部分から全体への考え方か一目瞭然だとおもいます。
この考え方というのは、マーケターだけでなく全ての働く人にとって重要なことではないでしょうか。
こういった考え方をする人が多ければ多いほど、いろいろな視点からの意見が出てきていい方向のモノができさらに業績も向上すると思います。


本書はマーケターの本であるが、世の中のほとんどの営利企業は何かをつくり、それを提供することによって利益を得ている。それに携わる限り全員マーケターであるかもしれない。マーケターだけでなく、とくにモノ、サービスを作ったり販売したりする人にとって重要な視点がたくさん書かれています。

ぜひ一読を。

 

マーケターを笑うな! 「買いたく」させる発想法

マーケターを笑うな! 「買いたく」させる発想法

 

目次
まえがき
第1章  マーケターはどこにいる  マーケティング界のいま
第2章  マーケターはどう考える  「売れない時代」と向かい合う
第3章  マーケターはなにをする  観察をビジネスに変え、「買う理由」をつくり出す
第4章  マーケターはなにを悩む  マーケティングが直面する課題ー狭き道を進む快感を知る
第5章  マーケターって誰?  常識を書き換えるプロフェッショナルになるために
第6章  マーケターはなにを目指す?  マーケティングの未来ー会社の仕事から社会の仕事へ
おわりに

 

Kindle版もあり。