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【83冊目】『雨の狩人』ー狩人シリーズの最新刊

雨の狩人 (GENTOSHA NOVELS)

 
大沢在昌氏の小説です。これは大沢在昌氏を僕が知るきっかけになった「狩人」シリーズの最新のものです。
本書を含めて、4冊出ています。
シリーズ累計200万部突破をしているとこのこと。
本書以外の3冊は、Kindleで発売されていたので一気に購入して読みましたがこの最新刊の『雨の狩人』だけはKindle版が出ていなかったのです。
そのため、かなり読みたかったのですが購入をためらってました。しかし、一向にKindle版が出ません。そんなところ本屋で文庫本より少し大きいサイズになっているのを見かけ購入しました。
結局Kindle版を待てなかったのですから、さっさと購入して読んでおけばよかったと思います。
久々に紙の本を読みましたが紙の本もいいですね。何か、うまく言えませんが「本を読んでいる」という感じがします。
 
 
さて内容ですが、やっぱり読んでよかった!と思いましたね。
 
新宿署の一匹狼の刑事の佐江と警視庁捜査一課の谷神が、殺人の捜査を進めていく。その中で、日本最大の暴力団・高河が推し進める事業の存在を突き止める…
という話の流れです。
 
登場人物のそれぞれの事情などが絡んだ話なのですが、もちろん最初はわかりません。読み進めていく内に少しずつそれぞれの事情が解き明かされていき物語が展開していきます。
一気に読めてしまいますね。
 
主人公の刑事佐江の哲学的なものも個人的には好きです。こう信念をもって仕事をしている人というのは格好いいですよね。
いろんな場面で佐江の哲学的なものが書かれていますが、少しだけ引用します。
俺は警察の中のカスだ。上司に犯行し、規則を守らず、いつも目をつけられて、出世どころか、叩き出す機会を上はうかがっている。けれどな、俺は極道を殺していいと思ったことはない。
(中略)
あんたのいう通り、それは仕事なんだ。俺の仕事とは、法を犯した極道をパクること。殺すのは俺の仕事じゃない。裁判でそいつが無罪になっても、かわりに裁こうなんて思ったこともない。またパクる、ただそれだけだ、パクる、ム所に入れる、でてくる、またパクる、そのくり返しだ。終わらないよ。確かに。だがそれが仕事なんだ。そして俺はこの仕事を誇りに思ってる。

この佐江という刑事は、こう信念をもって仕事をしている刑事なのです。そして、小説の中でも書かれていますが、犯罪者の気持ちも考えることのできる刑事なのです。ただし、それによって犯罪者を許すとかそういうことはない。そういったなんとも恰好いい刑事なのですよね。

 

この『雨の狩人』も前の3作品と同様、いやそれ以上に面白いですからぜひ読んでみてください。

雨の狩人

雨の狩人

 

 

北の狩人 狩人シリーズ

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