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【71冊目】『鉄の骨』→談合は必要悪なのか

鉄の骨 (講談社文庫)

 
Amazon内容紹介より
次の地下鉄工事、何としても取って来い。--「談合」してもいいんですか?
中堅ゼネコン・一松組の若手、富島平太が移動した先は”談合課”とよ揶揄される、大口公共事業の受注部署だった。今度の地下鉄工事を取らないと、ウチが傾くーー技術力を武器に真正面から入札に挑もうとする平太らの前に、「談合」の壁が。組織に殉じるか、正義を信じるか。

 

本書面白いですね~。
「談合」をテーマに書かれた本書。
談合は犯罪であるが、必要悪でもあるのではないか?正義感あふれる主人公の平太ももちろん最初は談合に反発していたが、業務課に異動して仕事をしていくうちに様々な考えを持つようになります。
ゼネコン界で天皇と呼ばれる人物、今までの談合の胴元といえばいいんでしょうか。その天皇に気に入られその仕組みを理解していく。
 
また、主人公と恋人との恋愛話も織り込まれていてこちらも結構いい感じです。
 
 
いい文章も多いですね。
 
ひとつの工事を受注するために、何人もの営業マンたちが必死で工作している。この国が資本主義社会であり、競争がその原理原則であるが故に、それに打ち勝とうと、あらゆる策を講ずる。知恵に限りを尽くして、生き抜くためにー。
生き抜くために知恵を出し尽くす。そうでなければ、生きていけない。衰退の一途となります。
本書でもそれをしている会社は生き抜き、そうでない会社は談合にこだわった。知恵を出して工夫しなければ資本主義社会では生きることができないですね。

 
目の前に転がってきた運を掴む資格があるとかないとか、そんなこと考える奴は結局、なにやったってだめなんだ。モーゼもいっているじゃねえか、汝、運を掴むときには躊躇うなかれってな。
目の前の運を掴むことができるのかどうか。
いろいろ頭で考えてばかりだとダメですね。やはり行動しないと。頭でっかちになってしまうと、どうしても行動が遅くなりますから。


今が一番いい。そう思うことが大事なんだ。過去を懐かしむのは構わない。だが過去を羨んではいけない。決してな。
今が一番いいと思うことができるかどうかでいろいろ変わってきそうです。


サラリーマンはよく、自分がいなければ会社が回らないと思っているからな。お前のは、それと同じ発想だよ、それは世間が狭い人間の錯覚に過ぎない。自分の代わりが務まる人間は、実は組織には大勢いる。じゃあ、なぜ彼らが出てこないのか。こたえは簡単。自分がそのポストにいるからだ。いったんそのポストが空いたら、すぐに代わりの、実はもっと優秀な人間が現れる。それは会社でも一般社会でも変わらない。世の中とはそういうもんだ。だから、回っていくのさ。
これは多くの人がそう考えてしまっているのではないでしょうか。
この会社は自分がいないと困る、と。しかし、これは思い上がりとまでは言いませんが、錯覚でしょうね。本当にそう思います。すぐに代わりの人が出てきて、何もなかったように会社は運営されますからね。大企業になればなるほどこの傾向は強いのではないでしょうか。 


どんな仕事でも同じだけどさ、がむしゃらにコストダウンを交渉して、それでも目標に追いつかない。そのとき疑うべきことはふたつあるんだ。ひとつは自分の交渉力、そしてもうひとつはー計画自体だ
計画自体を疑って、違う方面から物事をみてみる。様々な方向から物事を考えることは重要ですね。 


伝統を大切にすることと、伝統に縛られるのはまた別の問題です。過去に拘って変化を拒絶していては旧弊ばかり目につくようになる。それでは時代から取り残されてしまう。
伝統は大切にするけど、縛られない。伝統にとらわれてたら、いいことはなさそうです。
伝統に縛られないのと、大切にしないのは違うこと。


気が済むまでやること。そうじゃなきゃ後悔するわ。後からやろうなんて、結局は無理なの。人間、いましかできないことっていうのがある。それをやらなきゃね。

んー、これはいいですね。

結局、いつかやろうとか後でやろうとか思ってもなかなかやらない、できないもの。しかも、気が済むまでやりたいものですね。