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【55冊目】『羽生さんはコンピューターに勝てますか?』→羽生さんの人工知能に対する豊富な知識がすごい

羽生善治×川上量生「羽生さんはコンピュータに勝てますか?」完全版 【文春e-Books】

 

 

 

人工知能についての対談本

 Amazonの内容紹介より

いま、人工知能の世界にブレイクスルーが起きている。人間がコンピューターに負ける時代が来るのか?(中略)

この最も注目が集まる分野について、二人の才人が語りつくした。

人工知能の現状にはじまり、人類の行く末、コンピュータとの勝負の行方の行方から、ついには人類の未来まで徹底的に語り合った。

本書は、今いたるところで話題の人工知能についての対談本です。対談しているのはこの二人。将棋の羽生善治さんと、ドワンゴのトップである川上量生さん。

ニコニコ生放送で配信され、週刊文春2015年8月13・20日号に掲載されたスペシャル対談の内容をすべて網羅した完全版とのこと。

 

羽生さんの知識の豊富さに驚いた

内容としては非常に面白いですね。

まず驚いたのが、羽生さんの人工知能に対する知識の豊富さです。これは本当の驚きましたね。ドワンゴの川上氏は、人工知能研究所まで設立した人物ですから、その知識の豊富さには納得できるのですが、羽生さんは将棋の人ですからそこまでの知識を持っていると思いませんでした。本書は、対談をまとめたものですから、調べて書き上げたものではありません。すごいなあと感心しました。

 

よく話題になる、「コンピュータvs将棋」「コンピュータvsチェス」についても本書では語られています。その中で15年もの間チェスの世界王者として君臨していたカスパロフさんが2015年春に行われた電王戦ファイナルに寄せたコメントに興味をひかれましたので以下引用します。

「文明の発達は止まることがない。コンピュータが人間を超えることは必然なのだ。そしてそれさえも人間の知性の勝利といえる。コンピュータに敗れようとも、人間に知性がある限り、将棋もチェスも続いていく。知性の闘いは揺るがない。人間はミスをする生き物だ。ミスをしないコンピュータに5試合のうち1勝すれば、人間の知性は負けたことにはならない」

これはすごいコメントだと思いますね。今後のコンピュータと人間の付き合い方のヒントになっているような気がします。川上氏も人間とコンピュータの戦いとは何かということを世界で最も真剣に長い時間をかけて考えた人と言った後で、その人の結論に本当に感動したといっています。

 

人間のコントロールできないもの

人工知能が「人間のコントロールできないもの」を生みだすのではないのだと思います。人工知能がもたらすものは、ある社会構造や、金融のシステムなど、人間がコントロールできないシステムの、進化の速度を上げることだと思いますね。それだけ。「コントロールできないもの」は、すでに世の中に存在しているし、すでに人間はそれに支配されている。それが現実ですよ。

どうしても人工知能といわれると、目に見えないものですし、多くの人には理解できない領域もあると思うので、人間vs人工知能みたいになるという風潮になってしまうのかもしれません。アメリカでは「21世紀は人間とAI(人工知能)との戦争の時代だ」と主張している人も実際にいるといいます。

ただ、そうではないと川上氏は言っています。すでにこの世に存在している「コントロールできないもの」の進化の速度を上げること。この文をみて確かにそうだと思ましたね。その通りかも、と。

 

人間とコンピュータの関係

ただ、テクノロジーは果てしなく進歩していくはずです。本当に想像もできないような未来が待っていると思います。心の準備だけはしておく必要があるとも言っています。

それに対して受け入れることができるのかどうか。この判断というのは難しいですが、羽生さんはこう言っています。

技術の進歩や、それがもたらす時代の変化に対して、社会は、いつも受け入れるかどうか迷うものなのです。このとき重要なのが、そうした変化が可視化されていること、すなわち、目に見えるものとして人々の前にあること。

たしかに可視化されていたら、判断できると思いますね。百聞は一見にしかず、です。

 

今後はますます発達してくる人工知能人間とコンピュータの関係をどのように考えていくのか。ということを、本気で考えていく時代がきているのかもしれません。そのヒントになることがたくさん語られている本書。おススメの一冊です。

 

人工知能について興味がわいたので、この本も読んでみようと思います。